その他疾患|愛知医科大学 呼吸器外科 - Division of Chest Surgery, Aichi Medical University

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胸の壁(胸壁)と肺の間の空間(胸腔と呼びます)に感染が起き、膿(うみ)がたまった状態を“膿胸“と言います。治療はまず、呼吸器内科にて抗生物質の投与とともに、管(ドレーン)を胸腔に入れて膿を出します。この治療で改善が得られない場合は手術で膿をかき出して、胸腔内を掃除してくる必要があります。当科ではこの手術を胸腔鏡で行う様に努めています。目に見えない細菌やウイルスが相手ですから、一度の手術では完治しない場合や、従来から行っている胸を大きく開ける”開胸手術“になることもあります。胸腔鏡下手術で治療できるかどうかは、膿胸の発症からどれだけ早急に手術が行えるかが”カギ“を握っています。すなわち、どの段階で手術が必要なのかを適切に判断しなければなりません。
当科では呼吸器内科と密に連携を取り、迅速に膿胸の治療にあたっています。

肋骨骨折、胸骨骨折など、胸の壁を支えている骨の骨折や、気管断裂、肺損傷など、肺や気道(空気の通り道)の外傷は緊急処置が必要な場合があります。このような胸部外傷に対しては、高度救命救急センターが初期対応し、緊急手術が必要な場合に備えて当科が待機しています。

手掌から多量の汗がにじみ出ている手掌多汗症はいわゆる手のひらの汗が多いという病態です。病気かどうかの議論もありますが患者さんが悩み苦しむため疾患として治療しています。小児期にはいじめの対象になることもあります。通常左右対称性で手のひらだけではなく足の裏の汗も多いです。緊張により発汗が始まりますが自分で制御できません。しかし睡眠中の異常発汗はみられないのが特徴です。塗り薬や注射の治療もありますが通常効果は限定的です。難治性で手術希望される場合は手術を行います。交感神経遮断は最も効果的な治療法とされていますが術後の代償性発汗は程度の差はあれ必発と考えています。術後に顔面や上肢、胸部の発汗が低下する反面、明瞭な境界をもって腹部、背部、臀部、下肢の発汗がありますので、発汗自体が増加したように感じます。また交感神経幹が切離されているとフィードバックが絶たれ交感神経の興奮が持続してしまうことになり過剰発汗が持続することになります。
手術方法も様々な補法が報告されていますが、我々は第3及び第4胸部交感神経節の交通枝のみを遮断し、交感神経幹を温存します。全身麻酔で1時間ほどの手術になります。傷は3mm程の傷で左右それぞれ2か所計4か所必要ですが、術後の傷は多くの場合ほとんど目立ちません。
手術方法も様々な補法が報告されていますが、我々は第3及び第4胸部交感神経節の交通枝のみを遮断し、交感神経幹を温存します。全身麻酔で1時間ほどの手術になります。傷は3mm程の傷で左右それぞれ2か所計4か所必要ですが、術後の傷は多くの場合ほとんど目立ちません。
現在まで安定した効果と比較的許容される程度の代償性発汗に抑えられていますが、手術を行った場合は必ず代償性発汗が出ることの理解と許容が必要です。特に発汗の多い夏場に代償性発汗は強く、屋外の労働や高温の労働環境を強いられるような職業の患者には手術は推奨されないと考えています。手術をお考えの場合は一度ご相談ください。

  • 手掌多汗症の皮膚切開

肺の中の細かい“血管”と空気の通り道である“気管支、肺胞”の間の部分が“間質“です。間質に”炎症“が起こると間質性肺炎と言います。間質性肺炎はタイプによって治療法や経過が異なります。そこで、そのタイプを調べるために肺の一部を取る「肺生検」が必要になる場合があります。当科では間質性肺炎に対して胸腔鏡を用いた肺生検を積極的に行っています。
また、間質性肺炎は急激に悪化する場合があります。これを“急性増悪”を言います。急性増悪が起きると致死率は50%を越えるとも言われていますが、その原因はまだ十分に分かっていません。肺の手術が引き金となって急性増悪を起こすこともあり、当科では間質性肺炎の状態を把握し適切な手術を選択しています。手術後に急性増悪をきたした場合は呼吸器内科と連携を取り迅速に治療にあたっています。